インタビュー

interview

第五回

ディレクター

石川淳一さん

これからのハウススタジオに求めるもの

これまで撮影できた場所の許可がおりなくなったり、またはスタジオがつぶれてしまったり、時代とともに撮影できる場所が少なくなってきている実感はあります。そうなってくるとハウススタジオというのは最後の生命線とも呼べる場所になっていきますが、とにかくなんでも増やしてほしいというのが正直な意見です。

学校関連や大型の病院とかリアルな留置場や拘置所とか無限に求めてしまいますが……これも規制がどんどんきびしくなってきているけどドローンを飛ばせるスタジオとか(笑)、そこにビジネスの需要があるとは思えないけど、映像の作り手としてそういった場所があったらうれしいんですよね。

若いクリエイターへのメッセージは……ありません!

僕より上の世代の監督って、もっとでかい夢を語るというか、こう業界の輝かしいことを監督然として豪快に発言していたと思うんです。でも、これ最近痛切に感じていることなんですけど、僕はテレビ業界の現実を正直に話していこうと決めました。それって、監督になる夢を持った若い子が現実とのギャップにやられて簡単に辞めてしまうことが多いからなんです。さっきも話しましたが、テレビドラマの制作現場はとても大変です。とにかくスケジュールはタイトで、追撮ができないからなにがあっても今日中に撮り終えなくてはならないギリギリ状態は多々あって、なにかしらに追われながら制作しなければなりません。そんな中で若い助監督が演出とは関係ない雑用のような仕事ばかりをやらされたら、すぐに逃げ出したくもなる気持ちはわかります。

もし……僕が監督になれた理由を挙げるなら、シンプルだけど単純に映像が好きでその仕事を辞めずに続けたからなんです。あたりまえだけど、助監督を続けた先に監督があった、と。助監督にはサード、セカンド、チーフとランクアップしていきますが、その各ポジションで与えられる仕事は違います。”助ける監督”と書いて助監督だから、もっと演出に近い存在と思いがちだけど、ハッキリ言って演出に関係ない仕事ばかり。そこで誤解というか不満が生まれるのはしょうがないけど、助監督を続けた先に必ず監督というゴールがあるんだと考えれば、仕事に対する意識は変わるのではないでしょうか。

だから夢見がちなメッセージに刺激され理想をふくらますよりも、まず、現実を受け入れやり続けることが大事。簡単に辞めてしまうのは本当にもったいない。確かにドラマ制作の現場はきびしい場面の連続だけど、映像が好きならいつかゴールできるでしょう。

1 2
 
ページトップへ戻る