実際の学校で撮影するには多くのハードルがあると考えます。 まず、スタジオとは異なり、ロケーションの数が圧倒的に少ない事。撮影可能な学校を探してロケハンを繰り返し、それが都内から遠く離れた地方になる事も多い現状にあります。撮影をするにも、たいていの場合「その学校を管理する自治体や教育委員会などの許可を得なければならない」、「撮影時間が17時前後までに限定される」、「近隣や町内会への配慮が必要」と、さまざま条件が生じます。撮影内容や撮影場所を限定され、「校舎は撮影できるが、グラウンドと体育館は地域の方に一般開放しているので撮影はお断りしている」というのもよくある話です。 また、学校という性質からネガティブ系の撮影はかなりの割合でNGとなるでしょう。廃校で撮影をする場合は、電源や上下水道を含め、撮影環境がほぼ整えられておりません。何年も手付かずの状態から現役の学校として撮影するには、清掃から美術までを考えると途方もない時間がかかるでしょう。 撮影の許可がおりたとしても、慣れていない自治体では制作に対する理解がどうしても乏しくなってしまい、そのような状況でのロケは非常にトラブルを招きやすい状態にあると言えます。最悪の場合、「今後ロケーションとして使用ができない」、「会社として取引ができない」といった状態になってしまいます。フィルムコミッションを利用するという選択もありますが、フィルムコミッションの対応もまた千差万別です。 そのような状況を受け、最近では、東京の撮影スタジオを中心に教室や学校を再現したスタジオも多くなってきております。その中でも『プラネアール井荻教室スタジオ』はその先駆けと言えます。しかし、都内の撮影スタジオという利便性が高まる反面、多くの教室スタジオは「自然光が入りにくい」、「窓抜けの樹木やグラウンドがない」、「体育館に代表される関連シチュエーションがない」、「外観撮影ができない」などのデメリットもあります。教室の採光については、本物の校舎は南向きの方角に建てられ、校舎の南側にグラウンドを配置している事が多いために学校ならではの採光が得られる訳ですが、都内の撮影スタジオの場合はそれを満たす事が難しいのが現状です。 非常に稀なケースですが、『プラネアール富津竹岡スタジオ』のように本物の学校を利用したスタジオもあります。その場合はこれまで挙げられた細かい条件をかなりクリアできるでしょう。『プラネアール富津竹岡スタジオ』のような撮影スタジオが増えれば制作者のリスクが軽減し、より撮影が円滑になると考えます。その為にも、弊社としては「より制作に近いスタンスでのスタジオ作り」をしなければならないと思っています。
【コラム 第一回】学校施設での撮影について
2014年3月12日